惑星ラムーラ編 プロローグ

惑星ラムーラ編 プロローグ

 

 たとえばの話、人類が宇宙を自由に航行できるようになったとして、自分が宇宙船を手に入れたとして、様々な惑星を渡り歩くことができるようになったら、どんな旅がしたいだろうか。

 未開の地を開拓し、歴史に名を刻む冒険家になりたいというかもしれない。

 銀河中の珍しい生命の営みを見てまわりたいというかもしれない。

 俺の場合は、こう答える。

『立ち寄った惑星の美しい女を、自分の宇宙船に連れ込んで犯したい』

 目を覚ますと、俺は必ずこの文面を読むようにしている。

 人生の一番の目標を真っ先に確認することで、貴重な1日をその目標に向かってどう過ごすかすぐに思考できるようになるからだ。

 今日はどうするか考えながら、俺はシャワーを浴びて、服を着る。

 首から下を指先、足先まで全て覆う濃紺のインナースーツ。惑星の環境の違いに適応し、身体を守ってくれるこの時代の必需品だ。

 ネックエントリー式で首から足を通し、末端まで着込んだら首元の排気ボタンを押す。

 プシュゥゥ!

 内部の空気が抜けてスーツの生地と肌がフィットする。

 鎖骨、乳首、割れた腹筋が浮かび上がり…

「…ふっ」

 股間まで盛り上がっていて苦笑した。女を捕らえて犯すことばかり考えているから、当然こうなる。

 その股間を申し訳程度に隠すのが、薄紫色のズボンだ。同じく光沢を放ち脚にフィットするそれを履くと、ギリギリ勃起したペニスが隠れる。

 その上から膝下丈の黒いブーツを履き、金属製のリングで履き口を締めた。足はかっちりとガードされ、並の刃物や衝撃では肌に傷などつかない。

「昔の地球人は生脚を出す格好が多かったと聞くが、今では考えられんだろうな」

 宇宙には危険が山ほどある。

 一歩踏み出した先が安全などという保証はどこにもない。

 人類が惑星に移住し始めた頃、肌にほんの少し傷がついただけで未知の感染症に罹り、死に至ったケースが珍しくなかったらしい。

 今ではこうして肌を露出させない格好など、当たり前なのだ。

 それは下半身だけでなく、上半身も同じ。

 薄紫に赤いラインの入った胸部アウターウェアを着込めば、少なくとも心臓は守られる。

 手袋は前腕まで覆い尽くし、しっかりとプロテクトしておく。

 肩パーツには赤いマントがついている。マントは防弾性の素材でできており、背後の攻撃から身を守ってくれる。

 カチリ。

 手袋の履き口も金属製のリングでロックをかけ、簡単に脱げないようにする。

 密封された身体は脱いだ時に汗だくとなるが、この世界では常識的な格好だし、慣れてしまえ場それほど不快なものでもない。

「最後に…これだ」

 俺が手に取ったのは、銀色に輝く金属製の分厚い首輪だ。ゴツゴツしてズッシリと重い、およそ装着するメリットなど見当たらないそれを、俺はなんの躊躇もなく首に巻きつけた。

 ガチャリ! ピー。

 金属の接合部が合わさると、電子音と共にロックがかかる。俺が自分の意思で解除しない限り、何人たりともこの首輪は外せない。

 チキチキチキチキ…

「んくっ…!? っはぁ…!」

 軽く首を締め付けられる感覚は、とても心地よかった。

 大昔の奴隷がつけていたような首輪にマイナスイメージを持つものも多いだろうが、多くの人間が外出する時にこれを身につけている。

 正確には首輪という言い方ではなく、バブルヘルメット装置とも呼ばれている。俺のは極端に拘束具を想起させるデザインで、一般的にはもっとコンパクトでファッション性のあるものが多い。

 屋外やコロニーのインフラが整っていない地域では、大気に有害物質が含まれていることは珍しくない。それを吸引しないために、この首輪からは頭部を覆うバブルヘルメットが出現する。

 すでに統一政府も、屋外に出る際はバブルヘルメットの使用を推奨しているほどで、この装置に個人を識別するパーソナルデバイスを組み込んだ商品も実用化されている。

「くくく…この完全に身体を覆い尽くす格好がこの世の常識になるなんて、地球人は考えもしなかっただろうな?」

 そもそもボディラインが浮き出る格好を恥ずかしいものと考えていたという地球時代。宇宙時代では極めて合理的な理由で、この格好が当たり前となっている。誰もが物心ついた時から、その常識を疑うことはないし、俺もそうだった。

 ただ、俺が他の人間と違うところがあるとすれば、この常識そのものに欲情を抱くことだったのかもしれない。俺は全身を覆うこの格好と、その上から監禁拘束された姿に『フェチズム』を抱いているのだ。

「エロ動画でも、風俗でも、セクサロイドでもダメなんだ…生身の人間じゃなきゃな」

 これまでも自分の性欲を満たすために、いろいろ試してきた。

 だがどんなコンテンツも道具も、俺の望む『生の』反応がない。

 普通に生きている女を捕らえ、その姿と絶望と肉体を堪能したい。

 それを味わうため、俺はこれから用意していた計画を実行に移す。

「さあ、1日の始まりだ」

 ヴン…

 俺は着替えを終えると寝室から船長室に移動し、腕輪に触れて宇宙船のシステムを起動させた。

 暗かった船長室に明かりが灯り、数々のモニターが起動する。

 モニターに映し出されるのは一つの惑星と、コロニーの地図。

 俺が今いるところは、惑星ラムーラ。地球に生態系や環境がよく似ており、未知の原生生物や大気の若干の低酸素環境を除けば、危険が少なく人間が住みやすい惑星である。現在、50を超えるコロニーが建設されており、俺がいるのはその中のC9コロニーという場所だ。俺はこのコロニーで生まれ育ち、宇宙船を購入するまで仕事をしていた。

 まずは故郷にいるいい女を10人捕獲し、性奴隷にしてから宇宙へ飛び立つ。

 それから様々な惑星で暮らす女を、俺の宇宙船に集めて理想郷を築くのが計画の目標だ。

 やや遅れて、俺の周囲に10人の女のホログラムが浮かんだ。彼女たちは俺が目をつけたターゲットである。

「くくく…どれもいい女たちだ。きっとここで輝きを放ってくれるだろうな」

 選んだ女の基準は、完全に俺の好みだ。

 数日にわたってコロニーを散策し、目についた女の中から厳選した。

【サキ・イチミヤ】

 16歳。ラムーラ公立C9アカデミーの学生。

 サッカー部のマネージャーを務める献身的な女子だ。

 制服の下のみずみずしい肢体を是非とも味わいたいものだ。

【アンジェリカ・ミルフーヴァ】

 14歳。私立セントヴィーナアカデミーの学生。

 社長令嬢でバイオリンが得意。

 上品なお嬢様だから丁重に迎えてやらなくては。

【ルビー・コリンズ】

 17歳。歓楽街で売春をしている赤髪が特徴的な女。

 若さ溢れる身体を扇情的に見せつけ、男を釣っている。

 とっ捕まえて俺が世の厳しさというものを教えてやるとしよう。

【オリヴィア・レナード】

 35歳。俺が務めていた会社の先輩で、今は課長に昇進している。

 オフィスではその大きな胸で目のやり場に困ったものだ。

 数年ぶりの再会と、そこからの調教でどのような表情を浮かべるのか楽しみだ。

【レイチェル】

 年齢不詳。オフィス街でキッチンカーの営業をしている。

 まだ年端もいかぬ見た目で身分も不明なのだが、なぜか商売を一丁前にしている。

 怪しい臭いがプンプンする女は、捕らえて素性を暴くのも一興だ。

【ジュン・ミラノ】

 32歳。俺が宇宙船の操縦免許を取得する際に教わった教官だ。

 立ち姿からしてセクシーな女教官。

 堕ちる時はどのような表情を浮かべるのか楽しみだ。

【ミスト・ロザンベリー】

 26歳。繁華街の一角でカフェ&バーを経営する。

 銀河バーテンダーコンペティションで入賞したことのある実力派バーテンダー。

 その白魚のような綺麗な手で、俺のものをしごいてもらいたい。

【シーラ・ワトキンス】

 28歳。C9公立図書館の司書。

 紙の書籍を特に大事に扱っている。

 マナーに口うるさい彼女だが、その下の肉体は随分豊満な様子。

【イザベル・ブルーム】

 27歳。フラワーショップを経営する可憐な女。

 惑星生態調査員の資格を持ち、コロニー外に探検に出ることが多い。

 コロニー外は危険がいっぱいだが、その分計画が立てやすそうだ。

【ケイシー・バーン】

 20歳。配達業。

 空中バイクをクールに乗りこなし、スピード重視で宅配をしてくれる。

 無愛想な彼女のアンアン喘ぐ姿が見たいものだ。

 今は盗撮した画像からデータとして再構築したホログラムでしか見られないが、彼女たちの本体をいずれ、この宇宙船に運び込んでみせる。

 彼女たちが寝泊まりする部屋も、すでに用意はできていた。

「さて、どうやってこいつらを連れ込もうか…」

 どの順番で女を拉致するか。

 どうやって女を拉致するか。

 拉致した後の女をどうするか。

 考えることは山ほどあった。

 誰にも協力を要請できない孤独な思考のマラソン。

 成功するかはわからないし、しくじれば俺は銀河警察に拘束され、監獄で一生を終えることになるだろう。

 だが、俺の脳も心も驚くほどに充実していた。

 悩み考え抜くことが愉しい。

 人生を謳歌するとは、まさにこのことを言うのだろう。

「くっくっく…ははははは!!」

 誰もいない宇宙船に響く高笑いは、計画の始まりを告げる号砲のよう。

 こうして俺の、宇宙を股にかけた拉致監禁調教計画が幕を開けるのだった…

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